辞書プロジェクト第2期第7回会議の開催

日程: 2016年8月25日 木曜日 午後1時~午後6時半

   会場: 東京都千代田区図書館9F第1・第2研修室

     主催: NPO言語研究アソシエーション

      http://alr.la.coocan.jp/

プログラム

第一部

PM1:00_PM2:00

言語についての独断走り書き(言語学以前および言語以前のこと)」池田尚志    岐阜大学名誉教授

[要旨]言語とはなんだと考えていくと、人間とはなんだということについて考えざるを得なくなる。本稿は、言語とはなんだということについての筆者の考えを整理してみようと試みたものである。がしかし、内省に基づく独断の走り書きであり、学術論文の体はなしていない。雑録・未定稿である。

キーワードは“コミュニケーション”。「人間はコミュニケーション結合によって群れを成し社会を成すモノである。」

PM2:00_PM3:00

万物理論として観た物語理論」新田義彦    日本大学

[要旨]まずあまり聞きなれぬ「万物理論」の定義について述べる。J.D. バローによれば、「あらゆる自然法則を包み込む単一の描像、すなわち、物理的世界にかってあり、現にあり、これから現れるであろうすべての事物の必然性を完全無欠な論理によって導く《万物の理論》」というものである。元来、万物理論は物理的世界における過去現在未来の事象を矛盾や誤謬なく正確に描き出す理論であるが、その守備範囲を人間の知的情報世界へと拡大変容させるとどうなるか考えてみた。人間の知的情報世界を包括的・大局的に扱う理論は、言うまでもなく物語理論である。したがって本論文の考察目標は、物語理論の持つ万物理論的側面であるとも言える。

 言うまでもないことであるが、ここで言う物語は、文芸作品や昔語りのような狭義の概念ではなく、人間の知的産物全般を意味する概念である。つまり人間あるいは組織が、他の人に理解してもらうことを意図して発信する知的産物、あるいは知的行為全般を「物語」と呼ぶ。物語は何らかのメッセージの伝達、何らかの主張の表現である。

 我々が長い人生過程で体験し獲得(習得)する、物語の全体を究極的に総括できる万物理論(万能モデル)について考えてみることは、多分に誇大妄想の誹りを免れぬであろうが、抑えがたい魅力があることも否定できない。

 あり得た過去の物語、今現在体験している物語、そしてあり得る未来の物語、を計算(推測、生成)するポテンシャルを物語理論は持っているのではないだろうか。現在の強力な計算能力、情報収集検索能力は、このような万物理論(物語の万能モデル)を実装するポテンシャルを持っているように思われる。

今回の講演では、現代作家の作品(サスペンス小説)の物語構造を万物理論の観点から分析する実験、そして物語習得の極限に位置する観念、つまり人生行路の行く末の「諦観」を扱う万物理論(万能モデル)の素描、などにも挑戦してみたい。

PM3:00_PM3:15   休憩

第二部

PM3:15_PM4:15

日英比較対照からみた高品質日英翻訳ソフト開発のポイント」宮崎正弘    ラングテック

[要旨]高品質な日英翻訳では、英語と日本語の文構造・表現の違いやその背後にある発想法の違いをいかに吸収するかが大きな課題となる。本発表では、日本語表現分類体系データの解説・対訳例文などを参照しながら省略された主語・目的語などの補完、助詞「は」「が」の差異を考慮した翻訳、適切な冠詞付与、名詞の数の決定、適切な前置詞の選択、同形語・多義語の判別と訳し分けなどを翻訳ソフトでいかに実現するかを論じる。

PM4:15_PM5:15

日本語と英語の「文脈情報」の現れ方を検討する」岩垣守彦    ALR

[要旨]「英語から日本語へ」の場合は、終着点が「母語」なので、情報の取得が正しくても正しくなくても、日本文そのものには自信を持つことができます。しかし、「日本語から英語へ」では終着点が「習得言語」(英語)なので、日本文の把握は正しくても、変換した英文が果たして英語として正しく、しかも日本語と等価関係にある英文であるかどうか判断するのはバイリンガルでも難しい。それは、聴覚あるいは視覚から入ってくる情報に対して普段は無意識に行っている分析・解釈を意識的に行なって計量化し、それを異言語で等価的に表現することがむずかしいからです。ここでは、「文脈情報」がどのように現われるか検討してみようと思います。

PM5:15_PM5:20   休憩

PM5:20_PM6:20

連体節の連用節への換言態と日英翻訳の手法」佐良木昌    ALR

[要旨]連体節を連用節に言い換えることができれば、連体節と主節とは統語的には係わりがなくとも意味的には関わりがある。しかし、意味的には関わりが、継起とか因果とかのような明瞭な関係ではなく、連体節が主節主名詞の背景情報を提示しているような場合には、従属接続詞を用いた連用節に換言することが困難である。本発表では、連体節と主節との意味連関に応じた換言態を整理するとともに、換言態に対応した日英翻訳の手法を紹介する。

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