言語過程説80年・時枝誠記没後50年
「言語・認識・表現」第22回年次研究会
2017年11月25日土曜 午前10:30~午後5:30
千代田区役所図書館第1第2研修室
10:25-10:30
研究会主査 宮崎正弘(ラングテック・新潟大学名誉教授)挨拶
10:30-1130
「日英単文翻訳のための日本語文の書き換え」 宮崎正弘(ラングテック)
日本語的発想で書かれたこなれた日本語表現を、意味・ニュアンスの差を可能な限り正しく表現した自然な英語文に翻訳するには、意味と親和性のある文構造を出力する高度な日本語解析技術とともに日英間の発想の差を吸収する枠組みとしての日本語書き換えが必要である。本稿では、日英翻訳の基盤となる単文翻訳の高度化を目指して、日英間で文構成要素の対応がとれないこなれた日本語表現を意味的に等価な英語に翻訳しやすい規格化された日本語表現に自動変換する方法を中心に論じる。
11:30-12:00
US式英日機械翻訳の辞書登録
英日機械翻訳のプログラム(EtranJ)、27年前、「C言語による英和翻訳システム」を移植。ここ数年間、「https://www.yahoo.com/」の英語ニュース3,4行を訳し続け、EtranJの語類辞書の登録件数が11万語を超えました(トランプに関する記事が多い)。柴田勝征先生が取り組んだ「英和機械翻訳用大規模辞書構築」に倣って、ぽつぽつと進め、たどり着いたものです。目標は、30万語類を超えたい…20年はかかるかな!
英文:I read the book indicating the cold case with the notion that Kate might be the criminal.
◎EtranJ訳:私は、ケイトが犯人であるかもしれないと思われる迷宮入り事件を示している本を読みました。
◎US機械翻訳(柴田):私は迷宮入り事件を指し示すその本を読みますが、ケイトは犯罪者であるかもしれませんのように考えている。
◎Gogle翻訳:私はケイトが犯人かも知れないという冷たいケースを示す本を読んだ。
12:00-1:00 休憩
1:00-2:30
「オントロジー的部分空間」 新田義彦(ALR)
俳句のような芸術的文は,日常の場で使われる文と比較してその含意するメッセージ情報の量が圧倒的に大きい。また情報量の増長には俳句歳時記(俳句オントロジー)の作用が寄与する。断片文を、文法的要素が完備した通常文のように解釈できる理由は、オントロジー的部分空間の参照にある.オントロジーの基本部分は歳時記や辞典などにより与えられる.成文化しているオントロジー以外に、句作者がもつ人生経験のような無定形な物語知識もオントロジーとして重要である.形式的解釈の観点から,個々の句作者の持つ人生物語を集成することは難しいが、その断片を内省的に推量して描写することは可能である。
2:30-2:40 休憩
2:40-3:40
「漢字の読み=振仮名+送仮名」 上田博和(国語問題協議会)
「「終る・終える」は「終」の読みがオワとオで不統一だからと、「終わる」と送つてオに統一しようとするのは、漢字「終」の読みが「終る」「終わる」に於て、ともに「オワル」であることを知らず、送仮名も振仮名と同じく漢字の読み」を示すことを知らないからである。漢字「終」の訓〔おわる〕に、訓読み「おわら・おわり・おわる・おわれ」はあるが、「オ・オワ」は無い。
3:40-4:00 休憩
4:00―5:30
「言語過程説における場面論―その表現実践論的解明の意義と限界―」
佐良木 昌(ALR/明治大学)
本稿では、表現主体を拠点とした言語的表現実践論として時枝の言語本質論が、場面論を核に展開されていることに言及する。時枝の言語過程説における場面論の形成過程を、時枝の諸論稿を追跡し、時枝の理論形成過程を辿ることで、言語過程説の構築過程を追思考する、この試みが本稿の課題である。
5:30 終了
コメントを残す