「言語・認識・表現」第24回年次研究会
2019年11月23日 土曜 午後12:30~午後5:00
千代田区役所8F 図書館内第1第2研修室
主催:「言語・認識・表現」第24回年次研究会
共催 NPO言語研究アソシエーション(ALR)
12:30
主査 宮崎正弘 挨拶
12:35~13:25
日本語のつなぎと英語のつなぎ 岩垣守彦 言語研究アソシエーションALR
言語の固有性(「情報提示の嗜好」や「情報素配列(「連体節+体言」,[(し)て]の一部,も含む)」,など)によって情報順に変換できない情報がいくつかありますが,多くの場合,前から{単位情報}順に変換でき,{単位情報}順の翻訳の品質は,日本語の[関係性指標・修辞的工夫]を手がかりに,{単位情報}間の関係性や緊密性を解釈して,それをどのような英語の[関係性指標・修辞的工夫]で対応させるのかによって決まります.そこで,日本語の{単位情報}間の関係性を表す関係性指標や修辞的工夫を英語の「つなぎ」と対応状況を実際の英訳例から整理してみました。
13:25~14:15
ホットサンドを hot sand と英語に訳してはいけない理由 原田康也 早稲田大学
平松裕子 中央大学 森下美和 神戸学院大学 佐良木昌 明治大学
本語の食事のメニューには海外からの影響・外来語の影響が大きい。しかし、外国語を外来語としてカタカナで表記し、これを短縮したとたんに、原語との連関が失われる。日本語の中でサンドといえば、サンドイッチを意味することも多いが、ホットサンドを hot sand と英語にすると砂漠で陽に照らされた灼熱の砂を思い出すことはあっても、toasted sandwiches を想起することは難しいであろう。本発表では、日光の沿道に散見される英語として不適切な表現を取り上げ、その問題点となぜそのような表記が生み出されるのかについて若干の考察を試みる。
14:15~14:25 休憩
14:25~15:15
「4分33秒」(ジョン・ケージ)の意味 小川文昭 明治学院大学
ジョン・ケージの「4分33秒」は楽譜に休符しか書かれていない曲である。表現の 「対象→認識→表現」という過程で考えると、音楽とは演奏者が「対象」として聴いた音を、現実の感性的な音に投影した「表現」のことである。「4分33秒」は音楽を提供するのではなく、偶然に発生する雑音の中から自分だけの音を聴きとらせようとする。つまり音楽の創造者の「認識」の立場に聴衆を立たせようとする。「4分33秒」は「表現」概念の欠けた音楽観に基づいて音楽をつきつめるとどういうことになるのかを示す実例である。
15:15~15:20 休憩
15:20~16:10
機械によっては生成できない文について 新田義彦 日本大学経済学部
人工知能,特に深層学習の近年の発展は目覚ましく,自然言語理解・生成の領域も不可侵の聖域ではなくなった.深層学習の挙動の実態はブラックボクッスであるため,肯定するにせよ否定するにせよ,具体的な言語要素の変形計算を追跡しつつ議論を展開することが著しく困難である.ブラックボックスの実態は,高度複雑な(といっても高々3層程度の)重み付きネットワークである.ネットワークの入力端子群にベクトルQを入力し,出力端子群からベクトルAを出力する.ペア(Q,A)が機械知能の知的動作である.質問-応答であったり原文‐訳文であったり,外界環境‐運転制御であったりする.このような機械的知能によっては生成できない「文」とは,一体どのような特性を持つのだろうか?あれこれ考察した結果の断片を報告する.文としては簡潔性を利として「俳句」を多く取り上げた.人工知能と自然知能の本質的差異に迫る一助となれば幸いである.
16:10~17:00
「多次元シソーラスの構築ー自然領域部分の試作ー」 宮崎正弘(ラングテック)
多くの分類観点をもち、分類観点を明確化した多次元シソーラスでは、概念を上位の概念と様々な分類観点、および認知的プリミティブを用いて形式的に記述する。本発表では、宇宙・空・海・山・川、森林等の自然領域部分に関して、日本語の多次元シソーラスを試作した結果について紹介し、多次元シソーラスの基本構成および、記述形式を説明するとともに、多次元シソーラスを構築していく上での課題について論じる。
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